【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~相続③~
2024年5月21日
相続について③
前回は、相続人が誰になるかというお話でした。
今回は、次のステップである何を分け合うのか、遺産の範囲というお話をしたいと思います。
遺産は、亡くなら れた方が持っていた財産すべてが対象になります。
一般的には、土地建物の不動産や預貯金、証券などの金融資産、自動車、宝石、絵画などの動産などが対象となることが多いです。
1つだけ新しい問題があり、暗号資産というものがあります。ビットコインとかですね。
これも遺産になるのかということですが、財産的価値があるといえるので、遺産になります。ですが、ネット上だけで完結しているので、気づかれないことはあるかもしれません。
これも、以前お話をしたエンディングノートなどに書いておいてもらうと、残された家族としては見つけやすいということになります。
この遺産の範囲の争いとしてよくみられるのが、亡くなられた方の口座から出金記録があるが、そのお金が本人のために使われたか分からないという問題があります。
高齢の方の場合、その子供がキャッシュカードや通帳を持っていたりすることがありますよね。その子供が、親のキャッシュカードを使って、勝手にお金を引出して、自分の生活費などに使ってしまっているということがあります。
その場合、そのお金は本来であれば亡くなった親のお金なので、遺産として含めるべきじゃないかという話になります。
ただ、この問題はそう簡単ではなく、引出した子供が素直に事実を認めてくれればいいのですけど、勝手に引出していないと否定したり、お金を出したことは認めるけど、親のために使ったと、例えば病院の支払いなどに充てたといって、自分の生活費に使ったことを否定したりすることが考えられます。
その場合は、民事裁判を起こして、裁判で決着をつけなければならないということになってしまいます。なので、大変です。
次に、遺産の範囲は決まったとすると今度は、その評価の問題が出てきます。
預貯金などは金額が通帳に書かれているので、遺産の金額はわかりやすいですが、
不動産や株式の場合には簡単ではないです。
不動産の価格というのは、一概には決められておらず、固定資産税評価額でいいのではないかと思うかも知れませんが、固定資産税評価額っていうのはあくまで税金を計算するために決められている価格であって、不動産の時価とはまた別だったりします。
ですので、不動産業者にお願いをして査定をしてもらったり、不動産鑑定士さんに鑑定をしてもらったりして、不動産の時価を算定することが必要になることもあります。
また、株式も上場株式であれば金額がわかるのですが、上場していない非公開株式だと、株式の価値が簡単には決まらないので、これも争いになることがあります。
日本の企業の大部分は、非上場の会社ですよね。この非上場株式の評価の仕方も一概には決められておらず、会社の純資産額をもとに計算する方法や、業種が似ている公開会社の株価と比較して計算したりする方法などがあります。
このような場合は、公認会計士や税理士などの専門家に評価してもらうことが必要になることもあります。
このように、遺産の範囲と評価を決めて、初めて何を分け合うのかが決まるということになります。
次回は、それを前提に相続財産から引いたり足したりの調整をすることがあるというお話をしたいと思います。