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【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所 
~相続④~

2024年5月28日



相続について④

 前回は、遺産の範囲と評価を決めて、初めて何を分け合うのか決まるというお話をしました。今回は、それを前提に相続財産から引いたり足したりの調整をすることがあるというお話をしたいと思います。


 まずは、寄与分についてです。寄与分の寄与は寄付のきに、あたえると書きます。

寄与というのは、役に立つとか、貢献という意味ですね。

たとえば、亡くなられた方の面倒を見ていて、貢献をした、だからその分多めに遺産を分けてもらいたい、このような主張をすることがあります。


 これは5つぐらいのパターンに分かれます。

1つ目は、家業の手伝いをしていたパターン。

2つ目としては、お金を援助していたパターン。

3つ目は、介護していたパターン。

4つ目は、扶養していたパターン。

5つ目は、賃貸アパートの管理をしてあげていたようなパターン。

大体この5つぐらいに分けることが出来ます。


 この中では、3つ目の介護をしていたという主張が多いのではないかと思います。

ただ、実際には、介護をしていたというだけでは、寄与分というのは認められません。

 それは、寄与分が認められるためには様々な条件があり、例えば、介護をしていた期間が短いと認められず、少なくとも1年以上は必要とされることが多いです。

また、「専従性」といって、介護の内容が片手間では認められず、かなりの負担を必要とします。


 または、財産を維持したとか増やしたといえることも必要です。例えば、ヘルパーさんに頼むところを家族が担った、だからその分ヘルパーさんに払うお金が浮いた、などといえる必要があります。

ですので、寄与分が認められるための条件は厳しいと覚えておいてください。

 ちなみに、寄与分が認められるのは、相続人に限られます。ですので、親の介護をしていたのが、相続人である息子ではなくて、息子のお嫁さんがしていたという場合、お嫁さんは相続人ではないので、寄与分というのは認められていません。

 ですが、それは不公平ではないかということで、平成30年に法律が改正されて、相続人以外の親族にも金銭の請求が認められました。

これを「特別寄与料」といいますので、これも知っておいていいと思います。


 次は、寄与分とは反対の、「特別受益」の話です。これは、亡くなられた方から、援助を受けていた相続人がいる場合、その分を相続財産に戻すべきであるという主張です。


 よくあるのは、子供が家を買うときに親が援助をしていたというケースです。

その場合、援助していた金額を相続財産に戻して計算をします。

ただ、このときに、相続財産に戻さなくて良い旨を本人が言っていた場合は戻さなくてよくなります。

これを「持戻免除」といいます。これは、本人の意思を尊重するという趣旨で認められています。


 ちなみに、結婚生活が20年以上の夫婦間で住んでいる家を贈与した場合、この持ち戻し免除の意思表示が推定されます。これは、おじいちゃんがおばあちゃんに住んでいる家の名義を変えておいてあげるという場合が想定されています。

 これは、残されるおばあちゃんの老後の生活保障という意味合いで、認められた制度で、

これも平成30年の改正で認められました。この20年というのは、贈与税の特例制度と同じです。ですので、終活の一環として、このような贈与をしておくというのも1つの手だと思います。


 以上で4回にわたって相続のお話をしてきました。


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