【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~相続②~

2025年6月17日
ラジオ聴けます
相続について②
前回は、遺産の範囲と評価を決めて、初めて何を分け合うのか決まるというお話をしました。今回は、実際に分け合うときに、引いたり足したりの調整をすることがあるというお話をしたいと思います。
例えば、亡くなった方の介護をしていたという場合、介護をしていなかった兄弟よりも遺産を多くもらうべきだ、と思いませんか。
その場合、「寄与分」を主張して、多くもらえることがあるかもしれません。
寄与分というのは、寄付のきに、あたえると書きます。役に立つとか、貢献という意味ですね。役に立ったと認められる場合には5つほどのパターンに分けられます。
1つ目は、家業の手伝いをしていたパターンです。実家がお店をやっていて、子供がお店を手伝っている場合がこれにあたります。
しかし、寄与分として認めてもらうための条件として、無償性があります。報酬を受け取っていない、ということです。お店を手伝うことで、親から給料や生活費をもらっていることも多いのが実態ではないかと思います。その場合には無償性にあたらず、寄与分として認められません。
2つ目としては、相続人がお金を援助していたパターンがあります。例えば、子供が 親の家をリフォームするためのお金をあげていたというような場合ですね。似たようなパターンとして3つ目に親を扶養していたというものもあります。子供が親を引き取って面倒を見ていたというパターンですね。
4つ目は、財産管理型というのがあります。例えば親がアパートをもっているが、高齢で管理ができず、子供が代わりに管理をしていたというパターンもあります。
ここにいう管理とは、アパートの掃除や補修、入退去時の立会い、賃料の滞納があった場合の督促とかがこれにあたります。
つまり不動産会社がおこなっていることです。不動産会社に管理をお願いしていたら、管理料を支払わなければなりませんよね。それを子供がやることで、その分親の財産を減らさずに済んだことになります。
寄与分でよく問題になるは、5つ目として、介護していたパターンですね。これは主張されることが多くありますが、実際にはあまり認められなかったりします。
親子や夫婦関係では、扶養義務や扶助義務というのがあります。親や配偶者に介護が必要な状態になった場合には、家族が介護をするのが期待されるので、その期待を超えるぐらいの介護をして初めて寄与分として認められます。
料理をつくってあげたとか、掃除をしたなどの一般的な家事では認められなくて、ヘルパーさんなど専門家に依頼した場合に比べてその分コストを節約できたということが必要です。
また、介護をしていた期間が短いのも認められにくく、少なくとも1年以上は必要とされることが多いです。
そして寄与分が認められるのは、相続人に限られます。ですので、主に親の介護をしていたのが、息子のお嫁さんだったという場合、お嫁さんは相続人ではないので、寄与分というのは認められていません。だけど、それは不公平じゃないかということで、法律が改正されて、相続人以外の親族にも金銭の請求が認められました。これを「特別寄与料」といいます。
お嫁さんが介護することも多いと思いますので、知っておいて良い知識だと思います。