【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~終活⑤~
2024年4月29日
終活について⑤
前回まで遺言書の作り方や費用などについてお話してきました。
今日は、遺言書の内容を考えるうえで、知っておきたいことをお話したいと思います。
それは、遺留分です。
遺留分は、遺言のゆいに、留年のりゅう、1分2分のふんと書いて遺留分と読みます。
この言葉は聞いたことがありますでしょうか。
この制度を一言でいうと、相続財産のうち、一定の割合を相続人に保障しているというものです。
これは、遺言の内容にかかわらず、相続人には最低限確保される財産の割合というものがあります。
なぜかというと、残される遺族の生活保障という意味や、亡くなった方の財産の中には相続人による貢献が含まれていることもあるので、その分は最低限法律が守っているということになります。
どのくらいの割合が保障されてい るかというと、例えば、相続人には妻と子供しかいない場合、法定相続分の2分の1が保障されています
この場合、どうなるかややこしいのですが、
妻の法定相続分は2分の1ですね、なので2分の1の2分の1ということで、4分の1が保障される。半分の半分ということですね。
子供が2人いれば、法定相続分は子供一人あたり4分の1なので、その半分である8分の1が保障されている割合になります。
ちなみに、亡くなった方の兄弟には遺留分というものはありません。
ここでなぜ、遺言書の話として、遺留分の話をしたかというと、遺留分を考えずに遺言書を書くと、トラブルになる可能性があるからです。
たとえば、妻と子供がいて、遺言書で「妻に全部を相続させる」という内容で書いておくと、子供が文句をいう可能性があるということになります。
せっかく、家族が争わないようにと思って遺言書を書いたとしても、結局トラブルになったら悲しいですよね。
ですので、先程のように、全部妻に相続させたいという場合には、予め、子供たちの気持ちを確認しておくか、子供にも遺留分があることを考えながら、遺言書の内容を考えるのがいいのではないかと思います。
ただ、遺留分というのは、請求してもしなくてもいいものになります。つまり、遺留分を主張するのは、相続人に任されているということです。
たとえば、先程の例で言ったように、妻と子供がいて、「妻 に全部相続させる」という遺言書が残されていたとしても、子供が自分は取り分なくていいよと思うのであれば、その遺言書の内容がそのまま生きることになります。
反対に、遺留分を請求したいという場合の注意点としては、期間の制限があるということです。基本的には、相続開始から1年の制限があります。
1年以内に請求をしないと、後から請求することができなくなってしまうので覚えておいてください。
また、実際に遺留分を請求するとして、金額がどのくらいになるかというのは、計算がややこしいこともあるので、弁護士に相談してみることをおすすめします。
以上、遺言書を中心に終活にまつわるお話をしてみました。
次回からは、ご家族が亡くなられた後の相続の話をしたいと思います。