【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~とくりゅうについて①~

2024年12月10日
とくりゅうについて①
ラジオ聴けます
今回は「トクリュウ」についてお話したいと思います。
トクリュウとは、「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。
警察庁の定義によると、「SNSを通じて募集する、闇バイトなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団」という意味になります。
従来、犯罪集団というと、暴力団や暴走族のような組織だった集団でした。
これが現代では、みんながスマホを持つようになり、SNSを通じた繋がりというものができています。この中に、犯罪を目的に繋がる人たちも出てきました。
このトクリュウは、「トク」である「匿名性」という点で、秘匿性の高い通信手段を活用します。これにより、表だってはやりとりがわからずに、追跡が簡単ではないという特徴があります。
また、役割を細分化することで、全体としてどのような指揮系統で動いているのかが分かりづらくなっています。
そしてトクリュウの「リュウ」は「流動型」という意味です。
これは、1つの事件をするためだけに集められた人たちで構成されるので、その事件が終われば、みんなバラバラになり、また別の事件では、別 のメンバーが集められる、という集合離散を繰り返すという点で、流動型となっています。
すぐに組織がバラバラになるため、この流動型の面からも追跡しにくいことがわかります。
ここ数年で急増していて、この3年間でトクリュウとして検挙された人数は、実に1万人を超えています。
内訳としては、特殊詐欺が6000人程度と一番多くなっています。
また、強盗や窃盗なども数百人います。
トクリュウの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど暴力団と関係を持つこともあります。また、反対に、暴力団の構成員がトクリュウと共謀して犯罪を行っている事例もあり、従来の犯罪組織との繋がりもあるようです。
したがって警察も対策に力を入れています。警察庁長官も国家公安委員長もトクリュウの取締強化を宣 言しています。
実際、警察庁は今年の4月に「トクリュウ対策担当」となる参事官を初めて任命しました。この参事官というのは、暴力団を担当する警察庁組織犯罪対策1課課長などと同じで、地方では県警トップである本部長に充てられる幹部です。
またトクリュウは、匿名性が高い通信手段を使って、実行役や運転手役に計画を実行させています。この匿名性が高い通信手段は一定時間が経つとメッセージは消去されて、復元は困難とされています。ただ、警視庁の捜査支援分析センターが解析をして、メッセージの復元に成功しています。
決して匿名では犯罪をすることはできないということになります。
このような犯罪集団に巻き込まれることのないように注意が必要です。