【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~カスハラについて②~

2025年2月11日
カスハラについて②
前回は、カスハラの中でも悪質性の高いものについてお話をいたしました。
今回は、悪質性が高くないケースについてお話したいと思います。
現在当たり前のように「カスハラ」という言葉が使われていますが、昔は同じような行為に対しては「クレーム」が使われていたと思います。
クレームという言葉は実は英語ではなく、和製英語であり、「サービスに対する苦情や改善要求」という意味があります。
クレームという言葉自体には悪質なものという意味は含まれていません。
クレームには正当なものも含まれるので、正当なクレームとそうではない不当なクレームを見極めることが大事になります。
正当なクレームの場合お客さんに正当性があり、お店側からすればサービスの向上に繋がりますので、しっかりと検討をすることが求められます。
そして「正当なもの」とそうでないクレームの見極め方ですが、1つの考え方として、「内容」と「手段・態様」で分けて考えることができます。この2点がどちらも妥当性があるものが「正当なクレーム」にあたります。
言っている内容も正しく、手段や態様も穏当なものであれば、お店や会社としてはしっかりと対応をしなければならず、他方で内容か手段・態様のどちらかが妥当性を欠いているもの「不当なクレーム」と整理できます。
内容と手段・態様の「どちらも」妥当性を欠いているのではなく、「どちらかが」
妥当性を欠いているということです。
例えば、返品できない商品なのにもかかわらず、返品を要求することは、内容が妥当性を欠いています。
この場合には、態様がいくら穏当なものだったとしても、お店や会社としては対応できない、という回答になります。
また、内容が正当なものであっても、態様が穏当でなければ、それは不当なクレームということになります。
いくら正しいことを言っていたとしても、大声で叫んだり、執拗に要求を繰り返したりすることがこれにあたります。
つまり内容の正当性と手段・態様の正当性の、それぞれの程度によって判断するということになります。
では、それぞれの正当性はどのように判断すれば良いのでしょうか。
それは対応のプロセスということになりますが、一般的には、まずはお客さんから聞き取りをして、調査をします。そのうえで、お店や会社としての判断を出して、最終的にお客さんにそれを伝えるというプロセスを辿ります。
その際のポイントしては、まず聞き取りに徹して、その場での回答は控えるということが大事です。思わず、その場で回答したり、反論したりしたくもなるかもしれませんが、まずは相手が言っている内容を正確に聞き取り、記録に残しておく、ということが大切です。
なるべく丁寧な対応を心掛け、そのうえで調査をしていく、ということになります。
調査については次回詳しくお話したいと思います。