【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~不動産②(契約の更新)~

2025年3月18日
不動産②(契約の更新)
今回も不動産をめぐる法律問題の続きで、契約の更新についてお話をしていきたいと思います。
家やアパートを借りるときには賃貸借契約書を作ることが多いと思います。その契約書には、期間が決められていることがほとんどで、2年とされていることが多いと思います。
この2年契約ですが、2年経ったら出ていかなければならないのでしょうか。2年経っても住み続けていることが多いと思います。
その場合改めて契約書を作り直さず、そのままになっている方がほとんどだと思います。
これは、法律で自動的に更新されることになっているからなんです。
借地借家法という法律で、期間が満了する1年前から6ヶ月前までの間に、借り主に対して、契約を更新しないことを通知しない限り、自動的に最初の契約と同じ条件で更新したものとみなされます(借地借家法26条1項)。
賃料などの条件は最初の契約と同じままですが、自動更新された後は、期間の定めはなくなるため、最初の契約が2年ごとに自動更新されていくわけではありません。
この「期間の定めがなくなる」というのは正確には「いついつまで貸すという期限がなく なる」ということですね。その場合でも、大家さんが解約したいと申し出た場合、6ヶ月を経過することで終了する、という条文があります(同法27条1項)。
これだけみると、借り主からすれば、いつでも6ヶ月で解約させられる、ということになりそうですが、その点は制限がしっかりあります。
解約するには「正当な事由」が必要とされます(同法28条)。
正当な事由を一言でいうと、「賃貸借を終了させて明け渡しを認めことが、社会通念に照らして妥当と認められる理由」のことです。
これは、大家さんと借り主がそれぞれ建物の使用を必要とする事情を見ます。それに加えて、賃貸借の従前の経過や建物の利用状況、建物の現況、そして立ち退き料などが判断要素となります。
この立ち退き料というのは、大家さんが立ち退き料を払えば出ていかせられる、というわけではなく、今いったよ うないろんな事情を踏まえて判断をします。
立ち退き料というのは、正当事由の不足分を補完するという意味合いで考えられています。
したがって基本的には、当事者双方がどのような事情で建物の使用を必要としているかを比較します。
大家さんの方にも建物の使用を必要とする事情というのが必要ということです。大家さんに建物の使用を必要とする事情がなく、単に借り主に出ていって欲しいから、というだけでは、認められません。
ではこの「大家さんが建物の使用を必要とする事情」についてお話をしていきます。
典型的には、大家さん自身が住むとか、大家さんの家族を住まわせたいという事情です。あるいは、建物が老朽化してきて、建て替える必要がある、というのも事情の1つになり得ます。
大家さんやその家族が住む、というよりも、実際には建替えの必要を理由として解約申し入れをするケースが多いと思います。
特に、日本は地震が多いですし、このあたりだと南海トラフ巨大地震も心配されています。ですので、建物の耐震性というのは重要で、耐震性が弱い古い建物は、取り壊したり、立替えたりする必要というのはそれなりあると思います。