【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~不動産③~

2025年3月25日
不動産③
今回は、立退料について詳しく話していきたいと思います。
前回、立ち退き料というのは、正当事由の判断要素ではあるけど、補完的なもの、と話をしました。
立ち退き料を払いさせすれば、解約して借り主を出て行かせられるわけではない、といことでしたね。
当事者が建物を必要とする事情を基本的な要素とするので、まずはそれらを比較します。そして、それだけでは正当事由としては完全ではない場合に、立ち退き料を支払うことで、その不足分を補充するという位置づけになります。
この補完的要素ということは、立退料がいらない、ということもあるということです。
基本的な要素だけで正当事由がある、と判断されれば、立退料がいらない、ということになりますし、反対に基本的要素として大家さん側に事情が足りなければ、立退料が必要になってくる、という関係性です。
そして皆さんが気になるのは立退料の金額についてだと思います。
裁判にならなければ、当事者の話合いで決めるので、お互いが納得する金額ということになります。ですので、何か計算式があるわけではありません。ただ、一般論で言えば、借家とかアパートなど、住宅として借りていた場合には、引っ越すための費用や新しく借りる物件の費用、たとえば敷金・ 礼金や前家賃で支払う費用などを基準にすることが多いのではないでしょうか。
広い意味で、「転居費用」を基準にする、ということです。
ちなみに、住宅ではなく、事業用として借りている場合には、営業補償なども算定根拠とされることもあり、高額になるケースもあります。なかには1億円を超えることもあります。
次は大家さんが家賃を増額したい場合についてお話をしていきます。
家賃は契約で決めたことなので、勝手に増額をすることができません。ですので、大家さんが家賃を増やしたいと考えたとしても、基本的には借り主に説明をして納得してもらわないといけません。
最近は物価も上がってきていることから、何十年も前の家賃のままだと大家さんとしても大変だと思います。
賃貸借契約は長期間になることもあって、社会情勢に照らして不相当になっていることもあります。借地借家法では、社会の経済事情の変化に応じて、家賃が不相当になった場合には、将来に向かって、増額を請求できる権利が認められています(借地借家法32条1項)。
これに対して借主が納得をしない場合には、裁判で適正な金額を決める必要があります。ただ、このように、大家さんと家賃で揉めた場合に、借り主として注意が必要なのは、家賃の増額に納得いないからといって、元々の家賃も払わない、という対応をしてはいけません。
家賃の支払をストップさせてしまうと、家賃を滞納させたとして追い出されてしまうかもしれません。
また、現金で支払ってる場合で、大家さんに家賃を受け取ってもらえないという場合には
法務局に供託する方法があります。
法務局と聞くと登記について考えられる方が多いと思いますが、実は法務局はお金を預かってくれる場所でもあるんです。大家さんが家賃を受け取ってくれなくても、供託をすればちゃんと家賃を払ったことになります。