【FMISラジオ掲載】
よっしーの法律相談所
~闇バイトに加担した際の罰~

2024年12月31日
闇バイトに加担した際の罰
ラジオ聴けます
前回は、ルフィ事件に関連して、強盗事件などの刑罰について話をしました。
今回はその続きで、闇バイトに加担した場合の犯罪や刑罰について話をしたいと思
います。
まず前回、強盗関連の刑罰について少しだけ話しをしましたが、改めてまとめたいと思います。
そもそも強盗罪というのは、暴行または脅迫を用いて、他人の財物を強取するという犯罪です。銀行強盗という言葉で一般的にイメージされる犯罪です。
窃盗罪が被害者の目を盗んで見つからないように盗むというのに対して、被害者に暴力を振るって無理やり金品を奪い取るので、悪質といえます。
したがって、法定刑も重くなっており、「5年以上」となっています。
これは前回の復習なのですが、法定刑が単に「5年以上」となっている場合、有期刑の上限は20年となっているため、強盗罪上限は20年になります。
また強盗をした結果、被害者が怪我をした場合は強盗致傷罪となり、6年以上の懲役又は無期懲役となります。
さらに被害者が亡くなってしまった場合には、無期懲役又は死刑となります。
それ以外の犯罪を見てみると、まずは闇バイトで多い「受け子」です。
これは、被害者からお金を受け取る役割ですが、「詐欺罪」となります。
詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
実際、受け子だけで懲役10年、つまり刑務所に10年行かなくてはならないケースはないでしょう。ただ詐欺罪には罰金刑がない、ということが1つポイントです。起訴されて有罪となると、執行猶予が付くかどうかは別にして、必ず懲役刑が下されるということになります。
次に、受け子と同様、闇バイトで多い「出し子」についてです。これは詐欺罪ではなく、「窃盗罪」となります。出し子というのは、ATMからキ ャッシュカードでお金を出す役割ですが、ATMを騙してお金を取るわけではなく、勝手に人のお金を盗み取ったということになりますので、窃盗罪となります。
窃盗罪の場合には、10年以下の懲役、又は50万円以下の罰金刑が定められています。
罰金刑がある点が詐欺罪との違いです。
このようにみると「出し子」のほうが「受け子」よりも罪が軽いようにみえますが、そうではありません。
法定刑だと、懲役刑よりも軽い罰金刑があるのですが、実際の刑罰は、やったことに対して科されるので、出し子という犯罪を犯した場合、実刑になることも十分あり得ます。
また、少し特殊な闇バイトの例として、銀行口座の売買というのがあります。
これは、自分名義の銀行口座を他人に売ったりすることです。
この場合は、「犯罪収益移転防止法違反」という犯罪に当たるおそれがあり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。
似た例では、携帯電話の売買もあります。これは、詐欺罪にあたりうるほか、「携帯電話不正利用防止法違反」という犯罪に当たるおそれがあり、2年以下の懲役、300万円以下の罰金に処せられることがあります。
ですので安易に、自分の銀行口座や携帯電話を人に渡したりしたら捕まるということも覚えておいてほしいです。